脱出その③〜拮抗筋とインナーマッスル〜
3級クライマーを脱出するために、少し意識を変えると伸びが違うこととして、拮抗筋とインナーマッスルの強化が挙げられます。
強化する箇所は主に腕まわりです。
腕を強化するとなると、初中級者は懸垂、握力強化などパワーに直結することを思い浮かべがちですが、それはある程度登っていたら自然と身につきます。引く力ばかり鍛えていても、段々と頭打ちになり、同じ部位ばかりに負荷が偏り、怪我をするリスクも増えてきます。
そこで、拮抗筋と呼ばれるクライミングに必要な筋肉と「相反する」筋肉を鍛えます。
また、インナーマッスルを鍛えることによって、アウターマッスルでは得られない粘りのあるクライミングができるようになります。よく、ぬるぬるっと、音を立てずに登る上級者を見かける事があると思いますが、拮抗筋やインナーマッスルがあると安定した静かな登りになっていきます。
拮抗筋やインナーマッスルを鍛えることによって、以下のようなメリットがあります。
①指を痛めることを防止し、保持力があがる
②前腕がパンプしにくくなり、持久力があがる
③肩を痛めることを防止し、引きつけがスムーズになる
では、具体的なトレーニング方法を紹介します。
■指、前腕の拮抗筋を鍛えるトレーニング
①指を開閉を繰り返すトレーニング
・手を開いた状態で両手を上げる
・指の第一関節、第二関節、付け根、の順番で握り込む
・逆に付け根、第二関節、第一関節とゆっくり開く
上記をゆっくり、最低5往復は繰り返す
これは安間佐千さんが紹介している有名なトレーニングで、どこでも手軽にできるのでおすすめです。見た目に反して、とても疲れます。
参考動画
②フィンガートレーナーを使う
指を開く力を鍛えるグッズはいくつかありますが、このラッキーウエストのフィンガートレーナーがそこまで強度が高くなく、回数をこなせるのでおすすめです。
これを全部の指にはめて、片手ずつ50回〜慣れてきたら100回くらい指を開きます。
特に登ったあと、腕が張っているときに行うと次回以降パンプしにくくなる効果的なトレーニングです。
③肩の外旋トレーニング
肩が内側に巻いていると、背中の筋肉が使えず、腕に負荷をかけて登ることになります。外旋のトレーニングを行い、腕を開く力を自然と使えるようになると、背中からホールディングできるようになり、上半身全体を使って登れるようになります。
④ぶら下がるトレーニング
キャンパボードや鉄棒で懸垂をすることはあると思いますが、まずはぶら下がりましょう。懸垂は身体を上に引き上げるアウターマッスルですが、時間をかけて力を抜きながらぶら下がると、ぶら下がるために必要な最小限のインナーマッスルにだけ力が入るようになります。
20秒ぶら下がって、20秒レストする。を6セットくらいがおすすめです。
キャンパボードがある場合は、ガバで20秒ぶら下がる→少し浅めの箇所で20秒ぶら下がる、を交互に3セットくらい続けるとよりクライミングに効くインナーマッスルが鍛えられます。